司法書士Q&A

 

訴訟・法律トラブル編

訴訟・法律トラブル編
 
そもそも過払い金ってなに?

過払い金とは簡単に言えば債務者(借主)が貸金業者に返し過ぎたお金のことをいいます。
つまり、債務者が消費者金融等の貸金業者から利息制限法の利率を越える利息で借入れをしている場に、利息制限法に引直計算をした結果算出される、本来であれば支払う義務のないお金のことをいいます。

 
 

過払い金が発生しているかどうかは貸金業者から取引履歴を取り寄せて利息制限法で引直計算をしてみる必要があります。

過払い金が発生するかどうかはケースバイケースで一概に何年以上取引があれば必ず過払い金が発生するとはいえませんが、一般的には5年以上取引があれば過払い金が発生している可能性があり、7年以上であれば過払い金が発生している可能性が相当高いと言えます。

ただし、直前に多額の借増しをしていたり、小口の借入れを頻繁にしている場合は取引期間が10年以上であっても過払い金が発生しない場合もあります。
 
過払い金ってどうやって業者に請求したらいいんですか?

過払い金返還請求を債務者(借主)自身でおこなうことは可能なのですが、現実的には弁護士・司法書士に依頼しないで自分で過払い金を回収しようと思っても貸金業者が取引履歴の開示をしてくれなかったり、仮に取引履歴を開示してくれたとしても素直に過払い金を返還してくれないことが多くあります。

そうなると債務者は民事訴訟(いわゆる裁判)を提起する以外なくなってしまいますが、訴訟を遂行するには専門的な知識が必要となりますのでかなりの困難を伴うことになります。それに裁判は平日にしか行われません。
そういった事情を考慮しますとやはり弁護士・司法書士に依頼をするのが無難といえます。

 

 
貸金業者が取引履歴の一部しか開示しない場合はどうすればいいですか
貸金業者に取引履歴の開示を請求しても一部(3年~10年)しか開示されない場合があります。
その際の業者の言い分には
①社内規定上出せない
②10年以上前の取引記録は随時廃棄処分している
等といったものがあります。
このように一部の取引履歴しか開示してもらえない場合、まずは監督庁(各地の財務局、都道府県金融課等)に行政指導をしてもらうように上申します。
貸金業者も監督庁からの指導があれば取引履歴を開示する場合することがあります。
ただし、貸金業者の中には行政指導があっても一切開示をしないところもありますし、既に10年間の取引履歴が開示されているような場合は監督庁も行政指導をしませんので、監督庁に行政指導の申出をしても開示されないようであれば訴訟を提起するほかありません。
 
貸金業者が和解を要求してきた場合はどうすればいいですか?

貸金業者に取引履歴の開示を請求すると、履歴の開示をすることなく突然貸金業者から債権債務なしで和解をしませんか(これを『0円和解』といいます)、と言われることがあります。貸金業者が取引履歴を開示することなく0円和解を提案してくるということは過払い金が発生していると考えてまず間違いありません。仮に、債務が残っているとすれば貸金業者が0円和解を提案することはありません。

0円和解をするかどうかは取引履歴の開示を受けたうえで利息制限法の引直計算をして過払い金がいくらになるのかを確かめる必要があります。ですから、安易に0円和解をするべきではないといえます。

 
貸金業者から移送の申立てをされた場合はどうすればいいですか?

過払い金返還請求訴訟は債務者の住所地を管轄する裁判所に提起することができますが、貸金業者が契約書の合意管轄等を理由に本社の住所地のある裁判所に移送申立てをすることがあります。

このような移送申立てがあった場合は裁判所に反論書(意見書)を提出する必要があります。

もし、意見書を提出したにもかかわらず貸金業者の主張が認められてしまった場合は移送の決定書を受け取ってから1週間以内に即時抗告の申立てをすることができます。

なお、この即時抗告を棄却した決定に対しては再抗告することができますので最後まで諦めないようにしましょう。

 
司法書士が裁判業務において代理できる業務と代理できない業務について教えてください。
司法書士の中で簡裁訴訟代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した者は、簡易裁判所において一定の訴訟代理行為等を行うことができます(以下、認定司法書士とよびます)。当事務所の司法書士は全員、認定を受けております。

認定司法書士が代理できるものは、次のとおりとなります。なお、代理ができないものでも、書類作成はできます。
 
■代理できる
民事訴訟における簡易裁判所の管轄は、現在は、訴額が140万円までとなっています。従って、この範囲内の訴訟(少額訴訟も含む)において、認定司法書士は、原告(訴える方)または被告(訴えられた方)の代理人となることが可能となります。

訴え提起前の和解(起訴前和解)・支払督促は、価額にかかわらず簡易裁判所が管轄ですが、認定司法書士が代理できるのは、価額が140万円までのものに限ります。

民事調停・特定調停は、価額にかかわらず簡易裁判所が管轄ですが、認定司法書士が代理できるのは、調停を求める価額が140万円までのものに限ります。

裁判外の示談・和解(民事に限る)も、紛争の価額が140万円以内のものであれば、本人を代理して、相手方と交渉等ができるようになりました。この場合、認定司法書士が、代理人として、和解契約書等に署名押印することになります。

少額訴訟に係る債務名義による強制執行(少額債権執行)については、管轄が簡易裁判所となり、140万円以内であれば、認定司法書士が代理できることになりました。

■代理できない
簡易裁判所の第1審で、認定司法書士が訴訟代理人になっていても、控訴された場合、第2審以降の訴訟において、認定司法書士は、代理できません。

認定司法書士が代理人として、簡易裁判所に訴訟を提起したが、その訴訟が地方裁判所に移送された場合、認定司法書士は代理できなくなります。

簡裁の訴訟等で判決等の債務名義を得、それに基づいて強制執行をする場合でも、認定司法書士には、強制執行に関する代理権はありません(少額債権執行は除く)。


破産・民事再生・家事事件・刑事事件に関する代理権はありません。
 
敷金って取り返すことができますか?

敷金とは、不動産賃借の際、借主が貸主に対して借賃滞納、損害賠償の担保として預けておく保証金のことをいいます。


わかりやすくいうと、「家賃を滞納した場合」や、「わざともしくは過って部屋を傷つけてしまったり、ひどく汚くしてしまった場合」の時のために保証として預けているお金で、本来は退去時に全額返還されるものです。決して、部屋のリフォーム代などに充てるものではありません。

貸主の中には、ちょっとした部屋の汚れや自然損耗によるものに対してまで難癖をつけて、敷金を全く返還しなかったり、場合によっては修繕費用を要求してくることさえあります。はたしてその請求額や返還額は妥当なのか?それとも不当なのか?

 

もしも退去時に敷金トラブルに巻き込まれてしまった場合には、貸主に対して内容証明を送ったり、交渉を行ったり、それでも応じない場合には訴訟を行うというような解決策があります。


その際、個人で交渉するよりも、司法書士を通すことによって、相手方にプレッシャーを与えることができ、交渉も円滑に進んで、難なく敷金が返還されるケースが多いと思われます。

 
借りた覚えのない業者から「催告書」が送られてきました。どうしたら良いですか?

まずは、送られてきた「催告書」の内容から、貸し主となっている業者名や契約年月日などを確認し、本当に自分が借りた借金なのかを確認する必要があります。

 

こういったケースでは、架空請求の可能性もありますし、覚えていないほど昔の借金で既に消滅時効が完成していることも考えられます。

 

消滅時効が完成している場合は、その旨を書面にして内容証明郵便を送付することをお勧めします。ただ、借金の存在を認めるような対応(例えば一部返済するなど)をすると、消滅時効の主張が認められなくなる可能性もありますので、早めに当事務所へ相談されることをお勧めします。

 
自宅に内容証明郵便がきたんですが、これって受け取らないとダメなんでしょうか?
なんとなく受け取りたくないお気持ちはわかりますが、法律上、意思表示は相手に到達したときに効力が生じます(民法97条1項)。到達とは、意思表示が、相手が了知できる状態に入ることです。郵便受けに投入されたり、同居の親族、家族、雇人などが受け取れば、本人が了知しなくても到達となります。

たとえ不在であったとしても、郵便局は「書留め郵便が届いたので、お受取り下さい」と相手に通知しています。従って、相手は郵便を受取ることが可能な状況にあります。結局本人が了知しなくても到達となります。

 
 
内容証明郵便の書き方を教えてください

内容証明郵便は同時に3枚(郵便局保管、相手方送付、差出人保管)作成しなければなりません。

用紙は白いコピー用紙でかまいませんが、一行に20字以内、一枚26行以内で書かなければなりません。ただし、横書きで作成する場合は、一行13字以内、一枚40行以内、または一行26字以内、一枚20行で作成することができます。

 

 
 

用紙の枚数が二枚以上になるときは契印(割り印)をしなければなりません。

 

 内容証明に使用する文字はカナ、漢字、及び数字で、それ以外のものは英字(固有名詞に限る)及び、括弧、句点、その他、一般に使用される記号に限られる。句読点(、。)などは一字と見なされます。

 

 
 

用紙内には、必ず差出人(発信人)と受取人(受信人)の住所、氏名を末尾余白に付記しなければならなりません。ただし、住所、氏名が文章の内容に記載されたものと同一であるときは省略することができます

 

 
 
会社に対して労働条件や解雇の仕方について不満があるのですが…
司法書士にも労働問題に相談できる場合があります。
「従業員(社員、アルバイト、パートタイマー)が会社に対して金銭的な不満(サービス残業、有給休暇なし、賃金未払い)があった場合、どのような行動をおこせばいいのか」という相談を多く受けます。
 
選択肢はいくつかありますが、それぞれメリットもあればデメリットもあります。
考えられる選択肢は
①その会社に労働組合があれば労働組合に相談する → 組合がない会社は…
②労働基準監督署に相談する → 労基署のあっせんには強制力がないため、無視されたら…
③訴訟 → 時間も費用もかかるし、おおごとにはしたくない…
 
できれば②と③の間のような選択肢がいいっていう方には「労働審判」という制度をオススメします。
労働審判の特徴は以下の5つです。

・2~3ヶ月以内の審理で決着(裁判より短期間!)

・裁判上の和解と同じ効力が発生

・柔軟な審判が可能(和解しやすい!)

・出頭義務あり(無視されない!)

・非公開(会社の担当者とは対面はしません!)

  
当事務所は司法書士事務所ですので、労働審判での代理業務はできませんが、申立書の作成や、和解案の作成等、書類作成業務を中信とした後方支援なら可能です。ぜひご相談ください
 
今の会社を退職し、同業他社へ就職する場合、何か問題ってありますか?

基本的に、何の問題もありません。

しかし、中には退職時に「●年間は同業種で働きません」と書いた文書に署名を求める会社があります。

これを法律用語で競業避止義務と言います。

 

では退職後も競業避止義務を負うのか?

 

 
結論
 
1 嫌なら署名しない(その代わり退職金に影響するかも)
 
2 退職金の額が少額であれば、堂々と署名拒否!
 
3 協業避止期間の長い・短いの基準は2年
4 平社員であれば協業避止義務なし(研究者・取締役・会社の重要な業務に関わってる人は要注意)
5 困ったときは「憲法の職業選択の自由」を主張

↓↓↓


解説(長文です)
~誓約書への署名を求められた時に知っておきたいこと~ 
 


 

そもそも競業避止義務とは?

労働者は、会社との間で、雇用関係という法律関係を結んでいます。

そのため、労働者は、在職中に、使用者と競業する事業を営んで、使用者の利益を著しく害するようなことをしてはならない法的な義務を負っていると考えられます。

これが「競業避止義務」です。

問題は、「退職後も」そのような義務を負い続けるのかという点です。


 

職業選択の自由

そもそも、憲法上、人には職業選択の自由が保障されています。

そうである以上、在職中はともかく、退職後には、競業行為を避けるべき義務は負わないのが原則といえます。

したがって、退職後に競業行為をしないことを内容とする誓約書を提出するなど、会社との間で競業避止義務について個別に合意をしていない場合は、競業避止義務違反を理由に法的責任を問われることはありません。

逆に、憲法違反ですよと会社に忠告してあげましょう。

また、仮に会社が退職金を支給しないなどの制裁措置を取ってくるのであれば、同じように不支給に理由がないことを指摘して、支払いを求めていくことになります。


 

競業避止義務の合意がある場合

では、会社との間で競業避止義務について合意をしたという場合は、どうなるのか。

会社との間で競業避止義務について合意をしている場合でも、無条件にその効力が認められるわけではありません。

まず、そもそも、例えば無理やり誓約書にサインをさせられたなど、合意が任意に行われたものでないのであれば、有効な合意が成立しているとは言えません。

この場合は、合意が存在しないとの同じことになります。

また、仮に合意が成立している(誓約書に自らサインした)としても、人には職業選択の自由が認められる以上、その自由が不当に制約されない限度でのみその効力は認められます。

裁判所の見解はは、

「競業の制限が合理的範囲を超え、職業選択の自由等を不当に拘束し、同人らの生存を脅かす場合にはその制限は公序良俗に反し無効となる」


 

少し分かりづらいかもしれませんが、競業避止義務の合意が有効となるか否かは、おおむね以下のような点を総合的に考察して判断されています。

① 使用者のみが有する特殊な知識等が害されるか
② 労働者の在職中の地位や職務内容
③ 競業禁止の期間や地域の範囲
④ 労働者のキャリア形成の経緯
⑤ 労働者の背信性
⑥ 代償措置の有無、内容


 

また③の競業禁止の期間については2年を基準としている判例が多いです。


 


 


 

誓約書へのサインを求められたら!?

では、以上で説明したことを前提に、退職時に、退職後も競業避止義務を負うことを内容とする誓約書等に署名を求められた場合の対応について考えてみましょう。

納得できない場合は、とにかく署名の拒否することです。

労働者には、退職後にも競業避止義務を負うことを内容とする誓約書に署名をする義務があるわけではありませんので、あなたが拒否をすれば、会社としてはそれ以上何もしようがありません。

また、他の選択肢としては、誓約書に署名をすることの条件として、退職金の積み増しなど一定の代償措置を求めることも考えられます。

本来自由であるはずの退職後の行為について、一定の制約を受け入れる以上、一定の代償措置を求めることは決しておかしなことではありません。

ただ、これらの方法は、どうしても会社と険悪なやりとりになる可能性が極めて高いといえます。

したがって、出来るだけ円満に終息させたいけれど、競業行為による後日のトラブルを防ぎたいということであれば、あなたが退職後に行うかもしれない行為が制約の範囲外になるよう、競業避止義務の範囲を狭める交渉を会社と行うことも考えられます。


 

注意事項
 

顧客を意図的に大量に奪ったり、従業員を大勢引き抜いたりするなどの行為は背信行為となり、不法行為として損害賠償の対象になります。このような不法行為があった場合は、就業規則等に記載、特約の締結うんぬんは関係ありません。


 


 

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