そう、本当にひっそりととある重要な法改正がなされました。
あまりにひっそりしていたので同業者や他士業の方でもご存じない方も多いかもしれません。
今年の上半期、半年に及んだ国会で、閣議決定された、衆院通過したと(多くはご近所の内藤先生情報ですが)今年この事務所では常にホットな話題になった(勝手に私が騒いでいたのですが)のが相続法の大改正です。
私は毎日多くのニュースを自動録画して流し見るのですが、この法改正が重要法案扱いになっていなかったのが不思議でなりません。カジノ法案や参院の定数増の議論も大切なことですが、もう少し身近な話題も大きく取り上げてほしいものです。
まず、遺言ひとつとっても大改正です。
現在は、ご自身で遺言を書く場合、全文を自筆で書く必要があります。
それが財産目録部分をパソコンで作成したり、あるいは登記簿謄本や通帳の写しに自署と押印をすればOKの取扱いになります。
一見楽になって良さそうに思えますが、どうでしょう。
「お父さん、ここに署名してハンコ押して」
と子供から迫られる、あるいは知らないうちに押してしまっているということにならないでしょうか。心配です。
確かに全文を自筆させるのはどうかと思っていましたが、飛躍し過ぎな気がします。
財産部分は印字されたものでOKとしても、そのページに自署だけでなく、「上記財産を長男に相続させる」くらいは記載すべきなのではないかと個人的に思います。
これに関しては半年後の平成31年1月13日に施行されます。
まだ現時点では上記の方法で遺言を書いても無効ですのでご注意ください。
また、自筆証書遺言に関しては、もう一つ大きな変更(制度の新設)があります。
法務局が自筆証書遺言を保管してくれる制度がはじまるのです。
しかもこの保管してもらった遺言には家庭裁判所の検認が不要となります。
これ、何が大きな変更なのかと一般の方は思われるかもしれませんが、我々にとってはすごいことです。
遺言は、自筆で書いても有効なのですが、実際は使えない遺言だったり、紛失したり、隠されたりと自筆で書いた場合、大きな問題がありました。また、ブログでも書いたことがあるのですが、遺言を使う段階で家庭裁判所の検認(お墨付き)が必要となり、お父さんにとっては楽でも残された子供に面倒な手続きを押し付ける、そんな方法でした。
そのデメリットを解決してくれるのが今回の制度です。
もちろん、法務局側に受け入れの準備が必要ということもあり、この制度に関しては、2年以内に実施される予定です。
法務省にとっても相当な負担になると思いますが、遺言普及のためなかなか思い切った手を連発してきますね。
ところで相続税申告時の遺言控除の議論はどこにいってしまったでしょうか。気になります。
まだまだ、相続法については大改正があったので随時書いていこうと思います。